歴代ロータスF1マシンをご紹介していくLOTUS F1 FILE。第13回目となる今回は、低迷期のロータスにありながら、地道な改良によって戦闘力を取り戻し1976年のF1日本GPで優勝を遂げたタイプ77の登場です。
LOTUS 77
ロータス77は失敗に終わったタイプ76の後継車として1976年の開幕戦ブラジルGPでデビュー。設計はジェフ・オールドリッジによるもので、ナローなアルミ・モノコック、トレッドとホイールベースをサーキットに合わせて調整可能なアジャスタブル・サスペンション、インボード・ブレーキなど、独特のメカニズムを採用したモデルだった。
ブラジルGPでのドライバーはロニー・ピーターソンとマリオ・アンドレッティの組み合わせだったが、アクシデントとマシンの不出来に両名が離脱。その後、グンナー・ニルソン、ボブ・エバンスを迎えて戦ったのち、スペインGPから再加入したアンドレッティとニルソンのコンビで定着する。
マシンの方も第3戦西アメリカGPでフロント・サスをプッシュロッドから一般的なアッパー/ロッキングアームに、ブレーキもアウトボード式にするなど改良。その後もインダクションポッド、オイルクーラーのフロント移設など様々な改良を施すことで、戦闘力が向上。
最終戦となったF1イン・ジャパンではアンドレッティがシーズン初のポールポジションを獲得。生憎の雨の中で行われた決勝でも安定した速さをみせ、チーム・ロータスにとっても、そしてマリオ自身にとっても久々のGPウィンを遂げたのである。
72とも、76とも異なる低く、幅の狭いアルミ・モノコック。第8戦フランスGPを前に、シーズン途中から参加したトニー・サウスゲートがオイルクーラーをフロントに移設。前後重量配分が改善した。
当初はインボード・ブレーキに、調整可能なプッシュロッド式のフロント・サスペンションを備えていたが、西アメリカGPから常識的なロッカーアームとアウトボード・ブレーキの組み合わせとなった。
アルミのパネルが立ち上がり、メーターナセルを形成するコクピット。インパネは3連メーターだけで、スターター、イグニッション、ポンプなどのスイッチは、再度に分けて配置される。
シャシーナンバーJPS11(77/1)は、1976年に富士スピードウェイで行われたF1世界選手権イン・ジャパンでマリオ・アンドレッティがポールtoウィンを果たした個体そのもの。ヒストリックF1レーサーのパイオニアである故 西田旬良氏が長年所有していたことでも知られる。
インボード式のリアブレーキと、ヒューランドFG400ギヤボックス、そしてアッパー・パラレルIアーム、ロワー・シングルIアーム、ダブル・ラジアスアームの構成をもつリアサスペンション、コクピットから調整可能式のスタビライザーがよく見える。
富士スピードウェイの創業50周年を記念して2017年3月に行われた富士ワンダーランド・フェス!のために来日したJPS11。CTL JAPAN代表の久保田克昭がドライブし、快音を響かせた。
タイプ77は3台とも現存しており、Classic Team LotusではJPS11とJPS14(JPS13は欠番)を管理。今でもFIAマスターズ・ヒストリック・フォーミュラ・ワンやモナコ・ヒストリックGPでその姿を見ることができる。
●LOTUS 77 Specification
・ 生産台数:3台
・ エンジン:フォード・コスワースDFV V8
・ 排気量/形式:2993cc V型8気筒 DOHC
・ 最高出力:475bhp
Team Lotus - The Formula 1 Cars Book CTL FESTIVAL EDITION
1976 LOTUS77 BRAZILIAN Ronnie Peterson No.5
ロニー・ピーターソンが唯一実戦でドライブしたブラジルGP仕様を再現したモデル。この年の富士を制した後期型とは大きく異なるボディワーク、印象的なジョン・プレイヤー・スペシャルのマーキングなどを余すところ無く完全再現した1台です。もちろんロニーのフィギュア付き。
●1/43スケール レジンモデル
●限定1000個